逆効果かも?心理学が教える、子どもの「やる気スイッチ」が入る声かけ
はじめに
「うちの子、最近なんだかやる気がなくて…」「どうしたら自分から勉強やお手伝いをしてくれるんだろう?」
子育てをしていると、お子さんの「やる気」について悩む場面は多いのではないでしょうか。「早くしなさい!」「なんでできないの?」とつい強い言葉をかけてしまい、後で自己嫌嫌に陥ってしまう…なんて経験、ありますよね。
実は、良かれと思ってかけている言葉が、かえってお子さんのやる気を奪ってしまっている可能性があるとしたら、どうでしょう?
この記事では、心理学の視点から、子どもの「やる気スイッチ」が本当に入る声かけの秘訣を、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、
- なぜ今までの声かけが逆効果だったのかがわかる
- 子どものタイプや状況に合わせた効果的な声かけ方法がわかる
- 子どもが自ら進んで行動するようになるためのヒントが得られる
ようになります。
声かけ一つで、お子さんの表情が変わり、親子の関係もより良くなるかもしれません。さあ、一緒に「やる気を引き出す魔法の声かけ」を学んでいきましょう!
本題
1. 「やる気を引き出す声かけ」って何?基本を優しく解説
まず、「やる気」には大きく分けて2種類あります。
- 内発的動機づけ: 面白いから、楽しいから、もっと知りたいから、といった 自分の内側から湧き出る興味や関心 が原動力になるやる気。
- 外発的動機づけ: ご褒美がもらえるから、叱られたくないから、といった 外からの働きかけ が原動力になるやる気。
理想は、お子さん自身が「やりたい!」と感じる内発的動機づけを高めることです。しかし、多くの親御さんが無意識のうちに、外発的動機づけに頼る声かけをしてしまいがちです。
やってしまいがちな「逆効果」な声かけの例
- 結果ばかりを評価する: 「100点取ってえらいね!」「1番にならなきゃダメだよ」→ 結果が出ないと自分はダメだと思ってしまう。
- 他人と比較する: 「〇〇ちゃんはもうできているのに、あなたは…」→ 劣等感を感じ、やる気を失う。
- 脅しや罰でコントロールしようとする: 「言うこと聞かないなら、おやつ抜きだよ!」→ その場では言うことを聞いても、恐怖心が残り、自発性が育たない。
- 過度な期待やプレッシャーをかける: 「あなたならできるはず!」→ 期待に応えられない不安から、挑戦を避けるようになる。
- 曖昧な褒め方: 「すごいね!」「えらいね!」→ 何が良かったのか分からず、自信につながりにくい。
これらの声かけは、一時的に子どもを動かすかもしれませんが、長い目で見ると「やらされている感」が強くなり、本当の意味でのやる気や、困難を乗り越える力を奪ってしまう可能性があります。
効果的な声かけの基本原則 は、子どもの**「自分で決めたい」「できるようになりたい」「認められたい」**という気持ち(心理学では「自己決定感」「有能感」「承認欲求」などと言います)を満たしてあげることです。
2. 今日からできる!「やる気スイッチ」が入る声かけステップ
では、具体的にどんな声かけをすれば良いのでしょうか? 今日からすぐに試せる5つのステップをご紹介します。
- 結果ではなく「過程」や「努力」を具体的に褒める
- なぜ?:「頑張っている自分」を認めてもらうことで、結果が出なくても「また挑戦しよう」と思えるようになります。
- どうやって?:「難しい問題なのに、諦めずに考え抜いたね!」「苦手な計算、一生懸命練習した成果が出てるよ!」「字が丁寧になったね」のように、 具体的に どこがどう良かったのかを伝えます。
- コツ: 「すごい」「えらい」だけでなく、「〇〇しているところが、お母さんはすごいと思うな」と I(アイ)メッセージ(私を主語にする)で伝えると、より気持ちが伝わりやすくなります。
- 子どもの「できた!」をしっかり認める
- なぜ?:小さな成功体験の積み重ねが、「自分ならできるかも」という自信(有能感)につながります。
- どうやって?:「見て!ここまで一人でできたんだね!」「前はできなかったのに、〇〇が上手にできるようになったね!」と、 過去との比較 で成長を伝えると効果的です。
- 注意点: 他の子と比べるのではなく、あくまで その子自身の成長 に焦点を当てましょう。
- 子どもの気持ちに寄り添い、共感する
- なぜ?:「分かってもらえた」という安心感が、次の行動へのエネルギーになります。否定されると、心を閉ざしてしまいます。
- どうやって?:「宿題、やりたくないよね。分かるよ」「難しくてイライラするよね。その気持ち、よく分かる」と、まずは子どもの気持ちを そのまま受け止め ます。
- コツ: すぐに「でも」「だって」と反論せず、まずは「うんうん、そうなんだね」と オウム返し するだけでも効果があります。
- 子ども自身に考えさせ、選ばせる
- なぜ?:自分で決めたことには責任感が生まれ、主体的に取り組みやすくなります(自己決定感)。
- どうやって?:「どうしたら宿題、やる気になれるかな?」「ゲームの前にやる?後にする?」「どの服を着ていく?」など、子どもが 自分で考え、選べる ような質問を投げかけます。
- 注意点: 選択肢は、親がある程度絞って提示してあげると、子どもも選びやすくなります。全く言うことを聞かない時は、まずステップ3の共感から試してみましょう。
- 失敗しても責めずに、次につながる言葉をかける
- なぜ?:失敗を恐れて挑戦しなくなるのを防ぎ、「失敗から学べる」という前向きな姿勢を育てます。
- どうやって?:「なんで間違えたの!」ではなく、「惜しかったね!次はどうしたら上手くいくかな?」「失敗しても大丈夫だよ。何が原因だったか一緒に考えてみようか」と、 未来志向 の言葉をかけます。
- コツ: 親自身が、失敗を前向きに捉える姿勢を見せることも大切です。
3. もっと深めたいあなたへ:応用テクニックとトレーニング
基本の声かけに慣れてきたら、さらに子どものやる気を引き出すための応用テクニックも試してみましょう。
- 応用1:「お願い」や「提案」の形で伝える
- 命令口調ではなく、「〇〇してくれると、お母さん(お父さん)助かるな」「一緒に〇〇やってみない?」といった形で伝えると、子どもは「やらされている」と感じにくくなります。特に、感謝の気持ちを添えると効果的です。(例:「いつもお手伝いしてくれて、ありがとう」)
- 応用2:「なぜ?」ではなく「どうしたら?」と問いかける
- 問題行動に対して「なんでそんなことするの!」と問い詰めるのではなく、「どうしたら〇〇できるようになるかな?」「次からはどうすればいいと思う?」と、解決策を一緒に考えるスタンスで問いかけましょう。子どもの問題解決能力を育むことにも繋がります。
- 応用3:具体的なシチュエーションでの声かけ例
- 宿題を嫌がる時: 「宿題、大変だよね。分かるよ(共感)。じゃあ、まず簡単な算数から5分だけやってみない?(小さなステップを提案)」
- 習い事を辞めたいと言い出した時: 「そっか、辞めたいくらい嫌なことがあったんだね(共感)。何が一番嫌だったか教えてくれる?(理由を聞く)。もう少しだけ続けてみて、それでも嫌だったらまた一緒に考えようか(選択肢と猶予を与える)」
- テストで悪い点を取って落ち込んでいる時: 「点数見てがっかりしちゃったね(共感)。でも、諦めずに最後まで解いたのは立派だよ(過程を褒める)。どの問題が難しかった? 次はどうしたら解けるようになるか、一緒に作戦会議しよう!(前向きな行動を促す)」
これらの応用テクニックは、一朝一夕に身につくものではありません。日々のコミュニケーションの中で、意識してトレーニングしていくことが大切です。
4. 「やる気を引き出す声かけ」を身につける3つのメリット
効果的な声かけを実践することで、お子さんにはもちろん、親御さん自身にも嬉しい変化が期待できます。
- 子どもの「自己肯定感」が高まる
- 自分の気持ちや頑張りを認められる経験を通して、「自分は大切にされている」「やればできるんだ」という自信が育まれます。自己肯定感は、将来、困難に立ち向かうための土台となります。
- 親子の「信頼関係」が深まる
- 共感的なコミュニケーションは、「この人は自分のことを分かってくれる」という安心感を生み、親子の絆をより強くします。反抗期など、難しい時期を乗り越える上でも大切な基盤です。
- 子どもの「主体性」や「問題解決能力」が育つ
- 自分で考え、自分で決める機会が増えることで、指示待ちではなく、自ら考えて行動する力が養われます。また、失敗から学ぶ経験を通して、問題を乗り越える力も身についていきます。
まとめ
今回は、心理学に基づいた子どもの「やる気スイッチ」が入る声かけの秘訣についてお伝えしました。
大切なポイントは、
- 結果だけでなく、過程や努力を具体的に褒めること
- 子どもの気持ちに寄り添い、共感すること
- 子ども自身に考えさせ、選ばせる機会を作ること
- 失敗しても責めずに、次につながる言葉をかけること
でしたね。
今日からすべてを変えるのは難しいかもしれません。まずは、**「お子さんのがんばっている姿を一つ見つけて、具体的に褒めてみる」**ことから始めてみませんか?
焦らず、お子さんのペースに合わせて、少しずつ試してみてください。あなたの優しい声かけが、お子さんの未来を明るく照らす一歩になるはずです。
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